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【ゲーム講評】【微ネタバレ有】テイルズオブアライズをクリアしました。





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テイルズオブアライズをクリアしました。クリア時間は約70時間で、すべてのサブイベントをクリア済み、トロフィーもコンプリート済みです。今回はテイルズオブアライズについて感想を書きたいと思います。

なお、若干とはいえ、本記事ではネタバレ(ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、など物語の方向性レベル)を含んでいます。些細なことでもネタバレは嫌!という方はそっと画面を閉じてください。また、物語の核心に迫るようなネタバレは含んでいないので、ガッツリネタバレを知りたい!という方もそっと画面を閉じてもらえればと思います(じゃ誰向けに書いているんだ...w)。

総評

結論から書くと、近年稀に見る超良作でめちゃくちゃ面白かったです。個人的には85点くらいかなと思いますが、ここ最近ではペルソナ5以来ですごい!と思ったRPGですね。本当に、欠点の少ない優等生的作品だったと思います。以下で、各観点事に書いていきたいと思います。

ストーリーについて

・ストーリーは全体的に非常に良かったですね。特に、「痛みを感じない男」と「触ると激痛が走る女」といういかにも何か始まりそうな導入が良かったですし、至るところで伏線や謎が散らばっており、それをいい感じに小出しにしながら明らかにしてく、という見せ方が非常にうまかったですね。

・誤解を恐れずに言うと、ストーリーを全部見たときには、めちゃくちゃ斬新なストーリーかというとそうでもなくて、結構途中で「こういうことなんじゃないかな?」と予想できる部分も多々ありました。ただ、やはり前述の見せ方や演出の仕方(時に第2〇〇が流れたときは正直鳥肌ものでした)が抜群にうまかったな、というのが正直な感想です。

・とはいえ、決してつまらなかった訳ではなく、非常にうまくまとまっていたと思います。そもそも、テイルズって例えばゼノギアスとかクロノクロス(アニメで言うとエヴァ)みたいな複雑な物語だったり、積極的に考察させるような作品ではないんですよね。小中高生向けというか、ある程度低年齢でもすっと理解出来て楽しめる、親の立場なら安心して子供に遊んでもらえるような立ち位置だと思うのです。そうした意味で、王道な物語で必要な要素はちゃんと含まれており、わかりやすく、かつ一定の考察要素もあるという点でちゃんとターゲットを考慮されて作られた良い物語だったと思います。

・あと今作はエンディングが良かったですね!ザ大団円、で終わったのはすごく良かったです。個人的には物語は大団円を求める派で、物語中のすべての悲劇は喜劇になるための布石であるべきと思っているので、今回のエンディングはとても見ごたえがあってよかったですね。

・ただ、あえて苦言を呈するとどうしても設定上、物語の前半は暗いです。人もめちゃくちゃ死にます。特に感情曲線で言うとシスロディア辺りがどん底で、絶望しかないって感じなんですよねー。これを乗り越えるといつものテイルズらしさというかわちゃわちゃも増えてきて楽しくなるのですが。

グラフィックについて

・今回は「アトモスシェーダー」という独自のグラフィックを用いているのですが、これが非常に良かったです。リアルなんだけど、ちゃんとアニメ調を残しており、特に風景はとても美しく没入感を高めてくれていたように思います。僕は一番好きなゲームがサガフロンティア2なのですが、たまにサガフロ2を思わせるような水彩画タッチで、非常に良かったです(実際、水彩画のような色調を目指して開発されたとのこと)。

・キャラクターのレンダリングも良く出来ており、表情もコロコロ変わるので見ていて楽しく、リンウェルには癒されてました。ただ、グラフィックについてはメインキャラクターは非常に良かったものの、反面でサブキャラや町の人たちがチープに見えてしまったのがマイナスかなと感じました。この辺りは、力を入れるところには入れて、抜く箇所は抜くというマネジメントがなされた結果だと想像しますが、主人公やメインキャラの作り込みが細かく大変良く出来ていた分、「ほんとに同じ世界(ゲーム)のキャラなの?」と思わず突っ込みたくなる部分もあり、正直もう少し頑張って欲しかなったなと思います。

・あとは他の方も言われてますが、CGのグラフィックが向上しまくった反面アニメのクオリティが低い(低く見えてしまった)のはある意味時代だなと感じました。これも予算の都合なのか、Ufotableがサボったのか真相は分かりませんが、もう少しCGパートとアニメパートのつながりを線でとらえてもらえると良かったなと感じました。

システムについて

・今作の特徴として、回復魔法を使うにはCP(キュアポイント)という専用のポイントが必要になります。これ自体は、戦闘での攻撃するスピード感を損なわないための良い工夫だと感じる一方で、そのCPを回復させるための回復アイテムが非常に高価です。また、CPだけでなく回復アイテム全般が効果で、例えば序盤の武器の作成に500ガルドかかるのに対し、HP回復アイテムも500ガルド、CP回復アイテムは3000ガルドなのですぐ金欠になります。ここがよくネットの評判でマイナスがついているポイントでした。

・ただ、個人的にはこの点はあまり気になりませんでした。むしろ今作ではフィールド上でキャンプが出来、無料でHP・CPが全回復できるのでむしろ振り切って、回復アイテムが買えないくらいでも良いかもと思いました。

・ただ、シリーズ慣れしていない人は不快に感じるかもしれませんね。僕は奴隷という設定(当然、物流も制限されているハズ)に準じていてとてもいいなと思いました。安く回復アイテム買えるなら奴隷みんなグミ食べて「24時間働けますか」状態になれちゃいますしね(古い?)。

・とはいえ、奴隷の設定を活かすとすると武器が自由に作れるのはなんだかちぐはぐに感じなくもないので、例えばあくまで武器は敵からドロップしたものを使って、工房では強化やスキル追加のみ、みたいな感じにした方がリアリティはあったかもしれません。工房のおじさんもずっと奴隷やってたはずなのに、急に主人公たちの最強武器作れるってどゆこと?ってちょっと思ってしまいました。

・あと、時代だとは思いますが、どこでもセーブできるのはいいですね。ゼノギアスやクロノクロスのようにセーブポイント自体に意味を持たせるのであればセーブポイントを作る意義もありますが、そうでないのであればプレイの快適さの意味でもどこでもセーブできるのが良いと思います(むしろ、ひと昔前のゲームが考えなしにセーブポイントを作っていた方が問題だったのかも。マシン性能の問題もあったのかもしれませんが)。

戦闘について

・ボタンや通常攻撃のコマンドが変わり、まさに一新した感じがしました。最初は以前の〇ボタン+十字キーの方が操作しやすいかな?とも感じましたが、慣れると今回の操作方法が最良ではないかと思うくらい、操作しやすく工夫された配置に感じました。

・また、今作では飛行している敵、詠唱中の敵、回避を行う敵など敵によって特性があり、その特性に対応したバーストアタックという技を出すことができます。これが単調なバトルに程よいエッセンスとなっていると思いました。ただ、改善して欲しいと思った箇所もありました。まず、他のキャラクターは敵の特性に応じたバーストアタックを決めないと敵がダウンしないのですが、アルフェンの焔の剣だけはほぼすべての敵をダウンさせることができます。設定上、焔の剣は使用者の身も焼くという都合上使用すると自身もダメージを受けるのですが、それを差し引いても万能過ぎました。また、突進を使ってくる敵にはいわゆるタンク役のキサラのバーストアタックで止めるのですが、タイミングが難しく合わせずらいことが多かったですね。とはいえ、今作ではパーティーメンバーではなくてもバーストアタックを打てるため、これまでのテイルズだと控えのメンバーはほんとに空気だったですが、今作では一緒に闘っているんだな、という感覚にさせれる点は非常に良かったですし、控えメンバーのステータスや装備、アクセサリーを工夫するという遊び方にもつながるので上手いやり方だなと思いました。個人的には今後もこの方針は継承して欲しいと思っているほど、洗練されていたと思います。

・また、敵に対してある程度コンボを決めたり、特定のタイミングにおいて、バーストストライクという、テイルズオブシンフォニア(以下、ToS)のユニゾンアタックのような協力攻撃を打つことができます。これがあることで爽快感が増しており、またエフェクトが派手でありつつも演出が短いためストレスになりずらかったのも高評価ポイントだと思います。これまでのシリーズで出た技も多く出ており、懐かしい気持ちになったのも良かったですね。僕はアルフェン×ティオハリムの「衝破十文字」、シオン×ティオハリムの「ボルケーノインパクト」、シオン×ロウの「灼熱のバーンストライク」、リンウェル×キサラの「コチコチハンマー」がお気に入りでした。

・ただ、改善して欲しい箇所もあって、後半になるととにかく敵が堅いことが気になりました。敵は基本的にはこれまでの作品と異なり常時スーパーアーマー状態となっており、前述のバーストアタックでダウンさせたり、ブレイクさせない限りコンボが続かなかったり、ダメージが入らないんですよね。前半はまだ良いのですが、後半は全くと言っていいほどブレイクせず、避けゲー、焔の剣によるダウンゲーになっていたのはストレスでした。ボスについてもスーパーアーマーなのですが、ボス毎にギミックがあったり、戦略を立てたりと楽しむことはできたのでほんとに後半(特に〇〇に行った後の雑魚戦をどうにかして欲しかったですね...。ストーリーのところでも触れましたが、全体的に後半の調整が甘いような気がします(正直、途中で結末などに路線変更が入ったのでは?と勘ぐってしまうほど前半と後半で調整度が違うように感じました)。

・あと戦闘ではないですが、シンボルエンカウントなのに狭い道で避けれなかったり、触れていないのに戦闘に入るのはなんだかなと思いました。また、よくあるフィールド上で敵を攻撃すると有利になったりするようなギミックもなかったのも残念でした。せめて気づいてない状態で後ろからエンカウントしたら有利になるとか、そういう要素があっても良かったのかなと思います。あとは、レベル差があっても敵が果敢に立ち向かってくるのも気になりましたねw。一定レベル以下であれば、バトルに入らなくても敵が倒せるようなシステムがあれば、よりストレスなく各地を巡れたと思います。とはいえ、やり込み要素で敵の撃破数に応じて強くなる武器もあるので、このあたりはアーティストによってフィールド撃破の有無が切り替えができる、とかだとよかったのかなと思います。特に後半はやり込みで鉱石をひたすら掘る作業が続くので、低レベルの敵との戦闘は微妙にストレスでした。可能性は薄そうですが、今後のアップデートに期待です。

キャラクター

・今作はほんとにキャラクターが良かったですね。単純に戦闘バリエーションを増やすために作られたキャラではなく、ストーリーとして意味のあるキャラがちゃんと仲間になっていると感じました。

・キャラデザについても、これまでのいのまたむつみさん、藤島康介さんからのチェンジだった訳ですが、ほんとに世界観にあっていてよかったと思います。申し訳ないが、お二人にはこのキャラは出せなかったと思います。

・特に、前半はめちゃくちゃギスギスしているのが、後半になってくると打ち解けていつものテイルズのようにスキットでわちゃわちゃしだしたり、温泉イベントのようなお笑い会もあってほんとうに微笑ましかったですね。

・個人的には途中からデレまくりのシオンとリンウェル、いい意味で空気を読まずに物語核心に進むためのナビゲーターとなっているティオハリムが良い味出していたな、と思いました。

・特に、リンウェルがシオンのことを「いつかぎゅっとしたい」と言い出した時は、こんなにみんなが打ち解けたんだ、彼ら彼女らは過去のしがらみという壁を壊したんだ、と思い胸が熱くなりました。

・各キャラクターをフィールド操作キャラにした際のアクションやセリフがいちいち凝っていて面白い。僕はリンウェルを操作した際に水から上がった際に出る、「フルル、ぷるぷるしな!」、「フルルー!」ってやつが好きで何度も水に入ったり出たりしてましたw

・シオンもツンデレ感が出ていて可愛かったのですが後半の前半と後半で表情を変えても良かったかなとも思います。後半のシオンってほぼデレなんですけど、フィールド上の表情がちょっとムスッとしてるんですよね。前半はそれが良さだと思うのですが、後半のストーリーを見てからだと少し違和感に感じました。このあたりは解釈の問題かもしれませんが。

やり込み要素

・正直、少なかったという印象です。ただ、サブイベントにもちゃんと声が当たっており、時間が無い人はまずはサクッとメインのストーリーをクリアし、もっと遊びたい人はサブイベントで物語を深堀する、という遊ぶ人が進み方を選べる工夫がなされていたのは非常に良かったと思います。

・後半、いつものテイルズであればお使いイベント的にメインストーリー中で倒させるであろう敵も、あっさり無視し、サブイベントで倒させるのはある意味斬新でした(OP詐欺では・・・?)。

・上記の通り、本当にサブイベントが良かった分、やり込みが少ないのが物足りなく感じてしましました。もっとみんなと旅をしていたかった。

・特に、今作はレベルの上限が珍しく100となっています。出てくる敵も上限が100のため、魔装具をカンストせずともすべての敵を倒せてしまい、あまりやり込みの面白さが無くなってしまうのは残念でした(難易度上げてチャレンジしろよって話ですが)。

その他

・今回衝撃だったのはそのロード時間の短さです。僕はProでもなんでもないPS4でプレイしたのですが、ファストトラベルをしても数秒で目的地に着いたり、バトルもほぼ読み込みが無かったりとストレスなく、没入感を助けてくれたと思います。このあたりは相当スタッフが気合入れて工夫したんじゃないかなーと思います。

・課金コンテンツについてはいろいろ言われていて、「キャンプ画面で課金コンテンツをデカデカ表示することで没入感が台無し!」みたいな意見もありましたが、個人的には気になりませんでした。

・まあ正直、メニュー画面開いたら「システム」って設定項目ある時点で没入感もクソもないですしね...。

・僕はクリア後の隠しダンジョンをクリアするのが面倒だったので、550円で高速成長パックを購入しました。すごく戦闘が楽になり、まさに時間をお金で買った感じで個人的にはすごく良かったです。

・ただ、意見はいろいろあるかもですが、個人的には衣装はお金出してまで買うほどでもなかったかなーと思います。リンウェルの学園衣装と水着はギリギリまで迷ったのですが、もう少しクオリティを上げても良かったかな?という印象です。

・とはいえ、総じてスマホゲーがあれだけ課金を全面に出しているのに、コンシューマー向けは課金をしてはいけない!というのはおかしな話だと思いますし、一エンジニアとして資金繰りは重要な課題の一つだと思うので、健全な形であれば積極的に課金コンテンツも増やしていくべきかなーと思いましたね。

・特に、今作は非常に評価も良く、残念ながら公式は作らないと言っていますが「追加コンテンツ」や「追加イベント」を望む声も多いので、やはりちゃんと良い作品を作ればユーザーはついてくるし、作品の良し悪しはメーカーが思っている以上にユーザーは分かっているということが今作で改めて証明されたと思います。今後も今作のような丁寧な作品作りを期待したいです。

・あ、一個だけ苦言を呈すると、今回僕は歴代テイルズの戦闘楽曲がダウンロードできるパックを購入して、特にクリア後はエターニアやアビスなどの戦闘曲に変更することでマンネリ化することなく遊べたのですが、一番大好きなテイルズオブディスティニー2(以下、ToD2)の「Break Into Fragments」(改変された世界で流れる曲)が無かったのは期待してただけにほんとにムカついた!

総評(改めて)

全体的に、欠点が少なく、良くまとまった良作だと思います。これまでテイルズシリーズをプレイしたことがない人はもちろんですが、子供の頃は遊んでいたけど最近は離れてしまっていたような方にとっても楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ興味がある方はぜひプレイしてみてください!

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ストーリー:とても良い

戦闘:とても良い

キャラクター:とても良い

やり込み要素:やや少ない

グラフィック:とても良い
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いじょうっ!